
可愛らしくコンパクトな小型犬は大変人気がありますが、「小さいからしつけも簡単」というわけではありません。犬種によっては、その犬が持って生まれた特性や強い本能ゆえに、しつけに詳しい知識や経験、そして根気と一貫したアプローチが求められる場合があります。
これらの犬種は、安易な気持ちで迎えると、飼い主さんの手に余ってしまうことも少なくありません。しかし、彼らが持つ特性を深く理解し、それに応じた適切な方法で向き合うことができれば、他の犬種にはない魅力的な性格や、強い絆を築く喜びを得ることができます。
この記事では、一般的に「しつけしにくい(しつけにやや根気が必要)」とされる小型犬を10犬種ご紹介します。それぞれの犬種がなぜしつけに工夫が必要と言われるのか、具体的な理由と、その犬種とうまく付き合うためのポイントを詳しく解説します。
難しい挑戦を楽しみたい方や、経験者の飼い主さんは、ぜひこの記事を参考に、自分に合った犬を選ぶ参考にしてください。
ドッグトレーナー歴10年の佐藤です。犬の心理・行動学に精通し、ポジティブ強化法で多くの犬の問題解決をサポート。飼い主と犬の絆を大切にします。実績豊富な経験と実例に基づき、どんな犬にも最適なトレーニング方法を提案しています。監修:ドッグトレーニング「いぬのしっぽ」
目次
しつけしにくい犬種の定義と、その魅力
ここで言う「しつけしにくい(しつけにやや根気が必要な犬種)」とは、
- 独立心が強く、飼い主さんの指示よりも自分の意志や興味を優先しやすい
- 特定の能力(狩猟本能、警戒心など)が強く、その制御に難しい方法が必要
- 新しいことを覚えるのに時間がかかったり、反復が必要だったりする
- 臆病さや警戒心から無駄吠えや噛みつきなどの問題行動が出やすい傾向がある
といった面を持つ傾向がある犬種を指します。これらの面は、それらを理解しない飼い主さんにとってはしつけを難しいと感じさせる原因となります。
しかし、これらの犬種には、毅然とした性格、強い探求心、活発性、豊かな愛情表現など、他の犬種にはない魅力的な点がたくさんあります。それらの個性を理解し、それに沿った正しい方法で取り組むことで、飼い主さんとの間に強い信頼関係と、他の犬種では感じられないような深い絆を築くことができます。
しつけしにくい小型犬10選:性格・特徴・しつけにくい理由
しつけに詳しい知識や根気、一貫したアプローチが求められるとされる小型犬を10犬種、それぞれの性格、特徴、なぜしつけに工夫が必要なのか、そして具体的な対策のヒントを解説します。
チワワ
- 性格・特徴
- 小柄ながら勇敢で活発。同時に臆病で神経質な面も。警戒心が強く、見知らぬ人や犬に吠えやすい。噛みつきやすい傾向も。
- しつけやすい理由
- 小ささゆえに外界に威圧感を感じやすく、恐怖心や強い警戒心から問題行動が出やすい点が挙げられます。頑固で自己主張が強い一面もあり、甘やかすとすぐにわがままになります。早めの社会化と、無駄吠えや噛みつきへの一貫した対策が必要です。
- 対策のヒント
- 子犬の頃から様々な経験をさせ、外界に慣らす社会化が最も重要です。無駄吠えは安易に構っていると要求と認識し、増長する可能性があるため、無視する、または静かになったら褒めるといった一貫した対応を続けましょう。恐怖心からくる行動には慌てずに向き合い、安心させる環境を作ります。
ポメラニアン
- 性格・特徴
- 活発で好奇心旺盛、遊び好き。賢いですが警戒心が強く無駄吠えしやすい。プライドが高い面も。
- しつけやすい理由
- 興奮しやすく、一度吠え始めると止まりにくくなることがあります。賢いがゆえに、飼い主さんの指示を理解しても、自分にとって得だと思えば言うことを聞かない場合があります。プライドが高く、無理強いされるのを嫌います。
- 対策のヒント
- 子犬期からの社会化で、外界に慣れる機会を増やしましょう。無駄吠えは安易に声に応じず、静まったら褒めるを続けましょう。トレーニングは短く、楽しく行うことが大切です。十分な運動と知的な刺激を提供し、エネルギーを適切に発散させます。
ミニチュア・ピンシャー
- 性格・特徴
- 活発で勇敢、大胆。「小さな番犬」と呼ばれるほど警戒心、縄張り意識が強い。知らない人には懐きにくい。
- しつけやすい理由
- 非常に頑固で独立心が強いです。自分がリーダーだと思ってしまうと、飼い主さんの指示を聞かなくなることがあります。強い警戒心から見知らぬ人や犬に対して攻撃的になる危険も。一貫した毅然としたリーダーシップが不可欠です。
- 対策のヒント
- 飼い主さんがリーダーであることを明確に示し、ブレることのない態度で接することが最も重要です。早期からの徹底した社会化で、見知らぬ環境や刺激に慣らす練習を行います。活発なため、十分な運動とトレーニングでエネルギーを発散させます。
ダックスフンド(特にスムース、ワイヤー)
- 性格・特徴
- 好奇心旺盛で活発、勇敢。狩猟犬ゆえに穴掘りや匂い追跡が好き。頑固で自己主張が強い。
- しつけやすい理由
- 狩猟本能が非常に強く、特定の対象(匂いなど)に固執すると頑固になってしまうことがあります。頑固な性格から、飼い主さんの指示よりも自分のしたいことを優先させやすいです。吠えやすい傾向も。
- 対策のヒント
- 犬の持つ固有能力を理解し、それを満足させるような遊び(匂い探しゲームなど)を取り入れましょう。トレーニングは短く楽しく、遊びのように行うことが効果的です。頑固になったら無理に動かさず、気が済んだら褒める方法が良い場合があります。
柴犬
- 性格・特徴
- 日本犬らしい忠実で勇敢。独立心が強く、縄張り意識が高い。飼い主さん以外にはすぐに懐かないことも。個性的な性格。
- しつけやすい理由
- 頑固で、自分で考えて行動したいという強い意志があります。飼い主さんの指示に無条件に従うというよりは、納得しないと動かない性質があります。子犬期の社会化不足による警戒心や臆病さから、人見知りをしたり攻撃的になったりする危険も。
- 対策のヒント
- 飼い主さんとの強い信頼関係を築くことが最も重要です。してよいことを教えて褒め、やってはいけないことをさせない一貫した態度を続けましょう。子犬期からの徹底した社会化で、様々な経験を積ませることが非常に大切です。
ペキニーズ
- 性格・特徴
- 独立心が強く、悠然とした性格。穏やかで甘えん坊な面も。非常に頑固。自己主張が強く、マイペース。
- しつけやすい理由
- 飼い主さんに従うというよりも、自分がリーダーであるかのように行動することがあります。頑固でマイペースな性格のため、飼い主さんの指示にすぐに応じない場合が多いです。無理強いされるのを嫌います。
- 対策のヒント
- 気長に、褒めて伸ばすしつけが効果的です。無理強いせず、気が乗るまで根気強く待ち、できたことをしっかり褒めましょう。穏やかな態度で接し、信頼関係を築くことが重要です。
スコティッシュ・テリア
- 性格・特徴
- 勇敢で独立心が強い。賢いが頑固。警戒心が強い。見知らぬ人には懐きにくい。狩猟の能力も。
- しつけやすい理由
- 独立心が強く頑固。飼い主さんの指示を無視することがあります。テリア気質からくる気の強さもあるため、一貫したリーダーシップと、犬の性質を理解したしつけが必要です。
- 対策のヒント
- 飼い主さんがリーダーであることを明確に示し、一貫性のある態度で接することが最も重要です。活発で好奇心旺盛なため、十分な運動と知的な遊びでエネルギーを発散させます。遊びを取り入れ、楽しくトレーニングしましょう。
ウェスト・ハイランド・ホワイト・テリア
- 性格・特徴
- 明るく活発、勇敢。独立心が強くテリア気質が強い。警戒心が強く、吠えやすい。陽気で甘えん坊な面も。
- しつけやすい理由
- 独立心が強く頑固。飼い主さんの指示よりも自分のしたいことを優先させることがあります。高いエネルギーを発散させる必要があり、根気強く楽しい態度でのしつけが重要です。吠えやすい性質も理解が必要です。
- 対策のヒント
- 高いエネルギーを適切に発散させるために、十分な運動と知的な遊び(ボール遊び、引っ張りっこなど)が不可欠です。一貫した態度で吠え癖を修正し、静かになったら褒めるを続けましょう。子犬期からの社会化も重要です。
カーン・テリア
- 性格・特徴
- 活発で勇敢、好奇心旺盛。賢いが頑固な一面も。人にも甘えん坊。狩猟の能力が高く、穴掘りなどを好む。
- しつけやすい理由
- 独立心が強く頑固。飼い主さんの指示を無視することがあります。高いエネルギーを発散させる必要があり、根気強く楽しい態度でのしつけが重要です。吠えやすい傾向も。
- 対策のヒント
- 犬の持つ固有能力である穴掘りや探索欲を満たすような遊びやトレーニングを取り入れましょう。一貫した態度でしつけ、根気強いトレーニングで信頼関係を築きます。十分な運動も適切です。
ビーグル(小型~中型に分類、中型とされることもある)
- 性格・特徴
- 陽気で活発、好奇心旺盛で遊び好き。狩猟犬ゆえに匂い追跡が好きで頑固。穏やかで甘えん坊な面も。吠え声が大きい。
- しつけやすい理由
- 匂い追跡に執着すると非常に頑固になり、飼い主さんの呼びかけ声も聞こえなくなることがあります。頑固で自己主張が強い一面があり、自分自身の興味を優先させる傾向が強い。吠え声が大きいため近隣問題に注意が必要。
- 対策のヒント
- 匂いを追う遊びや探索トレーニングなど、犬の本能を活かしたトレーニングを取り入れましょう。根気強く楽しい雰囲気での反復しつけが重要です。無駄吠えは安易に構わずに、静かになったら褒めるを続けましょう。十分な運動も不可欠です。
しつけに根気が必要な犬種と暮らすために:成功のポイント
これらの犬種と暮らすことは、確かに多大な努力や工夫を要する場合がありますが、その代わりに強い喜びと深い絆を得ることができます。成功のために以下のポイントを心掛けましょう。
- 犬種の特性を深く、愛情を持って理解する
- なぜその犬が特定の行動をするのか、その犬種が持つ本来の性質や本能を学ぶことが最も重要です。それは犬を制御するためではなく、犬という存在を理解することです。
- 早期からの徹底した社会化
- 子犬の頃から様々な経験をさせることは、臆病さや警戒心を緩和し、外界に慣れる機会を増やす上で非常に大切です。その後の問題行動防止に繋がります。
- 一貫した毅然とした態度と明確なルール
- 飼い主さんがリーダーであることを明確に示し、してよいことといけないことのルールを明確に、そして常に一貫した態度で教え続けることが不可欠です。
- ポジティブ強化と、犬が楽しめるトレーニング方法
- 叱るよりも褒めて伸ばす肯定的な方法を基本とし、犬の興味を引くような遊びやゲームを取り入れた楽しいトレーニングを行いましょう。
- 十分な運動と精神的刺激
- 特に活発な犬種は、エネルギー不足が問題行動の原因になります。適切な運動と、知的な遊びや訓練を提供し、犬の心を満たしてあげましょう。
- 必要に応じて専門家のサポートを迷わず利用する
- 自分だけでは難しい場合や、難しい問題に直面した場合は、ためらわずにトレーナーや行動診療医などの専門家に相談しましょう。正しい方法やアドバイスを得ることで、物事をスムーズに進めることができます。
あなたにぴったりの小型犬を見つけるために
しつけに根気が必要とされる犬種を迎える場合は、ご自身の経験、犬にかけられる時間や労力、ライフスタイル、家族構成などを十分に考慮することが大切です。犬との生活にどれだけ責任を持って向き合えるか、難しい課題にも前向きに取り組める覚悟があるかが鍵となります。
信頼できるブリーダーや保護団体で相談し、個体の性格や、飼い主さんの経験に応じたアドバイスを貰うことも望ましいです。全ての犬種に対して言えることですが、責任を持って生涯面倒を見、適切なケアとしつけを行う覚悟が必要であることを改めて心に留めておきましょう。
まとめ:特性を理解し、愛犬との深い絆を築こう
この記事では、しつけしにくい(しつけにやや根気が必要とされる)小型犬をご紹介しました。これらの犬種は、確かに基本的なしつけに多少の努力や工夫が必要な場合がありますが、それは彼らが持つ個性的な性格や本能の一部分に過ぎません。
犬種の特性を深く理解し、それに応じた適切なアプローチで根気強く向き合うことで、問題行動をなくし、さらに強い信頼関係と良い絆を築くことができます。難しい経験を乗り越えた先には、他の犬種では感じられないような深い喜びと愛おしさを飼い主さんにもたらしてくれるでしょう。
「しつけやすい」か「しつけにくい」かという視点だけでなく、犬種の持つ魅力や個性を深く理解し、自分のライフスタイルや経験と照らし合わせて愛犬を選ぶことが最も大切です。適切な理解と深い愛情を持って触れ合えれば、どんな小型犬も素晴らしいパートナーとなってくれるはずです。
この記事が、あなたが素晴らしい小型犬と出会い、素晴らしい生活を始めるための一助となれば幸いです。
| 2025.04.28 19:16 | |
| 2025.04.28 20:36 |